説明
「神品」「神技」「圧巻」「偉大」造る全てのワインが絶賛
2006年に他界したエドアルド・ヴァレンティーニ氏の手によるイタリアの神品と呼ばれた赤ワインです。フラッグシップのモンプルチアーノ・ダブルッツオは良年にしか生産されず、イタリアで最も手に入れにくいワインと言われています。ましてや最高のヴィンテージとの呼び声も高い1990年となるとまずもって見つけるのは不可能でしょう!
天才エドアルド・ヴァレンティーニ
ヴァレンティーニ家はアブルッツォ州有数の貴族で、1632年よりイタリア中部アドリア海側に面したアブルッツオ州のロレートアプリティーノに本拠を構える家族経営のワイナリーです。
ヴァレンティーニを有名にしたのは何と言っても、2006年に亡くなった故エドアルド・バレンティーニ氏。フィレンツェで学業を終えた後、父の弁護士事務所を継がず、17世紀から続く領地で農業とワイン造りに専念しました。品質の追求にはまったく妥協というものを知らず、約64ヘクタールの自社畑で栽培したブドウのうち、自分のワインを造るのに使うのはわずか10%ほどで、残りはバルクで売り払ってしまうのです。
彼は古代ギリシャの哲学書や農業書にのっとり、「ワインのことは大地に聴け」「自分はブドウとワインの仲介者にすぎない」「ブドウの樹のつぶやきに耳を傾け、理解するように努める」など独特のワイン観を持っていました。どんなに後ろ指を指されようとも、試行錯誤を重ね、自分の信じた道を不屈の精神で歩み抜く姿勢は近寄りがたくさえあります。古くから伝わる昔ながらの自然な農法を心がけているため、畑では一度も除草剤や防虫剤を用いていません。化学的なもの、合成されたものは畑でもカンティーナでも使いません。
栽培や醸造に関しては現代のテクノロジーを学ぶより、「古代ギリシャの哲学者の書の中にある」と自身の信念を揺らぐ事無く進めていきます。ブドウは他の植物(オリーブ、小麦、他の穀物)とともに栽培し、動物を育て、それらの動物由来の堆肥を肥料として用いています。発酵は、培養酵母を添加せずに自発的に始まる。また、「環境と調和する真に自然な農業を現実には実行していない人も参加している表面的なものである」との考えからビオロジックの認証を信じていません。
彼は哲学者のような風貌で、よその土地に出かけていくことは滅多になく、大の写真嫌い、マスコミ嫌い。「偏屈者」「頑固者」と呼ばれ、謎に包まれていました。多くのワイン評論家やワイン雑誌が最高の評価を与えても、メディアをとことん敬遠する姿勢は、どこかシャトー・ラヤス(仏ローヌ地方)の故ジャック・レイノー氏を彷彿とさせます。
しかしイタリアワイン界の哲人、エドアルド・ヴァレンティーニ氏は2006年4月29日、72歳で永眠しました。以前から心臓や肺などに問題を抱えており、その2週間程前から様態が悪化したそうです。その後のヴィンテージでは彼の手で「トレッビアーノ・ダブルッツォ」や「モンテプルチアーノ・ダブルッツォ」が新しく造られることはないかと思うと残念でたまりません。
エドアルドの死後、26年間エドアルドと作業を共にしてきた、長男のフランチェスコがワイナリーを引き継いでいます。先代同様に化学的なアプローチは一切行なわず、収穫時期もブドウの成熟のタイミングにより、伝統的なスロヴェニア産の大樽を用いて熟成し、年毎にブドウに合わせて熟成期間を変えています。
奇跡のワイン、神品、モンテプルチアーノ・ダブルッツオ
彼の天才性は、並酒用のブドウと評されるトレッビアーノ種やモンテプルチアーノ種を使いながらも、他の造り手とは全く別次元のワインを生み出したことでしょう。
そして非常に良い年しか造られない(生産される年の方が珍しい)赤ワイン、モンテプルチアーノ・ダブルッツォは「奇跡の神品」と評され、イタリアで最も手に入れにくいワインと呼ばれています。
ワイン評論家の塚原正章氏は『料理王国』(1996年6月号)に寄せた記事のなかで、エドアルド・ヴァレンティーニのワインについて、「イタリアを代表する「黄金の七人」(ゴールデン・セブン)が造るもっともイタリア的な作品のひとつ」として、最大限の敬意を表しつつ、紹介しました。赤ワインのモンテプルチアーノ・ダブルッツォは、「広大な畑から選び抜いたモンテプルチャーノ種のブドウから造る、おそらくはイタリア随一の赤。神韻縹渺(しんいんひょうびょう)とした味わいは、まさに神技」と絶賛しました。
ヴァレンティーニで造られるワインは3種類
モンテプルチアーノ・ダブルッツォ(赤)
イタリア固有品種「モンテプルチャーノ」種のブドウから造られます。広大な畑から選び抜いたブドウで作柄の良い年のみ作られ、イタリア随一の赤。神技というべき一品です。
トレッビアーノ・ダブルッツォ(白)
アブルッツォの圧巻。収量の抑制と自然な造りで人為的な飾りのない深い内面性を感じる白を産みます。真に高貴な味わいです。
チェラスオーロ(ロゼ)
素晴らしい赤ワインのような複雑性を持つ偉大な香しさがあると絶賛されています。
ラベル、キャップ、液面(コルク下2.0センチ)の状態は良好です。