説明
シン・クア・ノンのフラッグシップであるイレブン・コンフェッションズ・ヴィンヤードの最新ヴィンテージのご案内です。
シン・クア・ノンは毎年春と秋にリリースされますが、秋にリリースされる自社畑の「イレブン・コンフェッションズ・ヴィンヤード」のワインがフラッグシップで、春リリースよりも熟成期間が2年長く、価格も高く設定されています。シラーとグルナッシュの2種類のワインをここから生産しています。
パーカーのコメント(97点) 「2019年のグルナッシュ・イレブン・コンフェッションズ・ヴィンヤードは、89.4%がグルナッシュ、5.5%がシラー、4.1%がプティ・シラー、1%がゲルバー・ムスカテラー(別名:ムスカ・ブラン・ア・プティ・グラン)から構成されている。35%全房発酵で造られ、約39ヶ月間、50%がフレンチオークの新樽やデミミュイで熟成され、2022年1月にボトリングされた。深いルビーから紫色で、初日は開くのにかなりの時間がかかり、ほとんどが閉じこもって内向的な印象だ。2日目になると、香りが広がった。チェリーパイやワイルドベリージャムの香りが、熟成肉、ペッパーコーン、ベルガモット、野花のトーンとともに層になって現れる。フルボディの口当たりはシームレスで、超絶的に細かいパウダーの質感があり、長いフィニッシュに広がる美しいスパイスと花のトーンを引き立てるジューシーな酸味がバランスよく感じられる。 潤沢なセラーでの熟成が望まれ、長寿なワインとなるだろう。922ケースと240本のマグナムボトルが製造された」 |
イレブン・コンフェッションズ畑はファースト・ヴィンテージが2003年で、シラーとグルナッシュの2種類を現在まで16ヴィンテージ生産しています。下の表のようにこの「16ヴィンテージのロバート・パーカーの最低点は96点」と言うのは信じられない偉業です。
2016年までは毎年ワインの名前を変えていましたが、最近商標や著作権の問題が複雑化し、毎年違う名前をつけるのが困難になってしまったと言うことで、2017年からは単に「Eleven Confessions Vineyard」としています。ラベルのデザインが毎年変わるのはこれまで通りです。ちなみに春リリースの赤には2019年からDistentaという名前をつけています。
シン・クア・ノン
カリフォルニアのみならず世界でも最上のシラー、グルナッシュ、ローヌ系白、ロゼ、デザートワインを造る伝説的なワイナリーと言えるでしょう。かつてはピノ・ノアールやシャルドネも造っていました(それらは現在では超お宝アイテムとしてオークションに出品されます)。オーナーでワインメーカーのマンフレッド・クランクル氏は鬼才という言葉がぴったりの人で、それほどワイン造りの経験があるわけではないのに、超高品質なワインを生み出しているのです。
クランクルが無名の頃に彼の造ったワインを飲んで驚いたロバート・パーカーは、ワイン・アドヴォケイト誌にシン・クア・ノンが掲載される前にクランクルに電話をし「大変なことになるからな」と告げたそうです。実際掲載日以降、クランクルの電話は鳴りっぱなしだったとか。
クランクルはSine Qua Non以外にもNext of Kyn、The Third Twin、Fingers Crossedといったワイナリーを展開しており、ローヌでは著名な生産者であるClos Saint Jeanの畑でシャトーヌフ・デュ・パプ「Chimere」を造るなど意欲的なワイン造りを進めています。
またグラシアーノ(スペイン原産)、トゥーリガ・ナシオナル(ポルトガル原産)といった世界的にはほどんど見向きもされないマイナー品種に注目し、そこから世界をアッと言わせる最高レベルのワインを生み出していることでも知られます。
ワイン名を毎年変える事ができなくなった
シン・クア・ノンを有名にしているのが毎年ワインの名前、ボトルデザイン、ラベルデザインがガラッと変わってしまうことで、一見しただけではどこのワインか全くわからないことが逆にシン・クア・ノンの特徴となっていました。通常は名前やラベルなどのブランドイメージを何とか確立しようとがんばるものですが、クランクルはそんな常識にはとらわれず、まるでアーティストのように毎年変えていました。しかも他のデザイナーに任せたりはせずクランクル自らが行い、彼にとってはワイン名を考える事、ボトルやラベルのデザインをすることはワイン造りと同じくらい重要なテーマでした。
ところが2016年頃から商標や著作権の問題が複雑化し、毎年違う名前をつけるのが困難になってしまいました。あまりに多くの名称がすでに登録済みとなってしまい、万が一にも名称でトラブったら訴訟に巻き込まれて金銭的な負担を負い、せっかく貼ったラベルを全て剥がさなくてはならないという最悪の事態すら想定されました。
そういうわけで2019年からは春リリースのワインはラテン語で「Unlabeled」を意味する「Distenta」と呼び、その後に番号をつけることにしました。また秋にリリースされる「Eleven Confessions Vineyard」のワインには名前を付ける事自体を止めてしまいました。ボトルの形も現在はほぼ一定です。それでもラベルのデザインは毎年変えています。
ラベル、キャップ、液面(コルク下1.8センチ)の状態は良好です。