説明
「神の雫」第五巻で、ロベール師匠が語ります。
「グロフィエは葡萄の声を聞いてその年々でワインの作り方を変えることで知られる優れた造り手の一人だ」
モレ・サン・ドニに拠点を置きながら、シャンボール・ミュジニーの偉大な生産者として知られるドメーヌです。ボンヌ・マールに1ヘクタール、シャンベルタン・クロ・ド・ベーズに0.5へクタール、そしてシャンボール・ミュジニー・レザムルーズ1.15ヘクタール(この畑最大の所有者)など、計8ヘクタールの錚々たる畑を所有しています。いずれのワインも色が濃く、力強い中にも、柔らかく、しなやかさも兼ね備えるのが彼らのスタイルで、グロフィエ信奉者が大勢います。
グロフィエ家のワイン造りは1930年代、ロベール氏の父ジュール氏がレザムルーズや特級畑ボンヌ・マールなど優良な畑を所有しネゴシアンに販売したことに始まります。その畑を継いだロベール氏は、畑でブドウを栽培していれば満足という実直なヴィニロンたる性格でしたが、妻であるジョルジェット女史がドメーヌ元詰めを勧め、1973年からは自分たちの手で瓶詰を開始。彼女の指揮の下 醸造設備を整え、最新のコンピュータやテイスティングルームを備えた瀟洒なドメーヌへと生まれ変わり、素晴らしいワインの数々を生み出すようになりました。
そのワインは、ロバート・パーカーから「A.C.ブルゴーニュからグラン・クリュに至るまで、どのワインもテロワールを良く表現した最上のワインだ」と評され、今やルーミエやヴォギュエとも並んでシャンボール・ミュジニーのトップドメーヌに昇りつめました。現在ロベール氏は実質ワイン造りから引退し、息子のセルジュ氏が当主を務め、ボーヌの醸造学校で学んだ孫のニコラ氏が栽培と醸造を行っています。
グロフィエのレザムルーズは濃縮感のある赤みがかった色調を持ち、樽から来るコーヒーや凝縮感のあるリキュールのような部分も非常に良質でまとまっています。味わいはトロリとした粘着性で、ジャムのようなネットリ感があります。タンニンは強くてしっかりしていますので、そういう意味ではテロワールの個性より造り手の特徴がよく出ているワインです。実質的な特級畑と評価されるレザムルーズの中でも飛び抜けたクオリティと人気を誇るのも納得です。
パーカーはその著書の中で、グロフィエを以下のように評しています。
今や、ロベールの息子であるセルジュ・グロフィエの丁寧なブドウ畑での仕事(ライバルであるほかのブルゴーニュブドウ栽培者たちは、かれのブドウに畏敬の念を抱いている)が、ロベールの熟練した、素晴らしく才能に富んだワインづくりと結びついて、このブドウ園を目がくらむばかりの高みに引き上げた。 |
ラベル、キャップ、液面(コルク下0.8センチ)の状態は良好です。