説明
シン・クア・ノン、最新ヴィンテージ2020年のご案内です。
Distentaはラテン語でUNLABELED「ラベルなし」の意味です。毎年ワイン名を変えるのがSine Qua Nonのアイデンティティでしたが、近年は登録商標や著作権の問題が複雑化し、毎年名前を変えることが困難になってきたため、ついにDistentaという名前で継続してリリースされるようです。
ワイン・アドヴォケイト誌では2018年(Profuga)が98点、2019年が99点、そしてこの2020年も97-99点という超ハイスコアとなっています。
パーカーのコメント(97-99点) 「まだバレル熟成中で、このワインは77.9%グルナッシュ、9.4%ムールヴェードル、7.9%シラー、4.3%プティ・シラー、0.5%ヴィオニエのブレンドである。全て以下の自社所有畑のブドウである:イレブン・コンフェッション(40%)、クムラス(33%)、サード・ツイン(21%)、モリー・アイーダ(6%)。29%が全房発酵で、グルナッシュが主要品種である。マンフレッド・クランクルは思い出して「10年前は全房発酵するのは恐ろしかったね。今ではとても気に入っている。特にグルナッシュではね。シラーではそこまでは好きではないけれど」と言った 52%フレンチオークの新樽とドゥミ・ミュイ(大樽)で23ヶ月熟成される。深いルビー色で、ワイルドベリージャムや焼いたオレンジの皮、ブラックティの茶葉、コーヒー豆の香りがゆっくりと開いていく。味わいはフルボディだが、後味は軽くジューシーで花のフレーバーと極めてきめ細かいタンニンが大量に織り込まれた夢見るような質感がある。2022年夏にはボトリングされ、1630ケースと600本のマグナムが2023年春にリリースされる予定だ」 |
シン・クア・ノン
カリフォルニアのみならず世界でも最上のシラー、グルナッシュ、ローヌ系白、ロゼ、デザートワインを造る伝説的なワイナリーと言えるでしょう。かつてはピノ・ノアールやシャルドネも造っていました(それらは現在では超お宝アイテムとしてオークションに出品されます)。オーナーでワインメーカーのマンフレッド・クランクル氏は鬼才という言葉がぴったりの人で、それほどワイン造りの経験があるわけではないのに、超高品質なワインを生み出しているのです。
クランクルが無名の頃に彼の造ったワインを飲んで驚いたロバート・パーカーは、ワイン・アドヴォケイト誌にシン・クア・ノンが掲載される前にクランクルに電話をし「大変なことになるからな」と告げたそうです。実際掲載日以降、クランクルの電話は鳴りっぱなしだったとか。
クランクルはSine Qua Non以外にもNext of Kyn、The Third Twin、Fingers Crossedといったワイナリーを展開しており、ローヌでは著名な生産者であるClos Saint Jeanの畑でシャトーヌフ・デュ・パプ「Chimere」を造るなど意欲的なワイン造りを進めています。
またグラシアーノ(スペイン原産)、トゥーリガ・ナシオナル(ポルトガル原産)といった世界的にはほどんど見向きもされないマイナー品種に注目し、そこから世界をアッと言わせる最高レベルのワインを生み出していることでも知られます。
ワイン名を毎年変える事ができなくなった
シン・クア・ノンを有名にしているのが毎年ワインの名前、ボトルデザイン、ラベルデザインがガラッと変わってしまうことで、一見しただけではどこのワインか全くわからないことが逆にシン・クア・ノンの特徴となっていました。通常は名前やラベルなどのブランドイメージを何とか確立しようとがんばるものですが、クランクルはそんな常識にはとらわれず、まるでアーティストのように毎年変えていました。しかも他のデザイナーに任せたりはせずクランクル自らが行い、彼にとってはワイン名を考える事、ボトルやラベルのデザインをすることはワイン造りと同じくらい重要なテーマでした。
ところが2016年頃から商標や著作権の問題が複雑化し、毎年違う名前をつけるのが困難になってしまいました。あまりに多くの名称がすでに登録済みとなってしまい、万が一にも名称でトラブったら訴訟に巻き込まれて金銭的な負担を負い、せっかく貼ったラベルを全て剥がさなくてはならないという最悪の事態すら想定されました。
そういうわけで2019年からは春リリースのワインはラテン語で「Unlabeled」を意味する「Distenta」と呼び、その後に番号をつけることにしました。また秋にリリースされる「Eleven Confessions Vineyard」のワインには名前を付ける事自体を止めてしまいました。ボトルの形も現在はほぼ一定です。それでもラベルのデザインは毎年変えています。
ラベル、キャップ、液面(コルク下1.5センチ)の状態は良好です。