説明
ドミニク・ローランは1988年に32歳の若さで彗星のごとく現れた醸造家です。元パティシエ(菓子職人)が造るワインは、豊かな果実味と芳醇な味わいでたちまち評判を呼び、今やブルゴーニュでもトップ5に入る醸造家と言われています。
『新樽200%』。ドミニク・ローランと言うとこの言葉が浮かびます。ネゴシアンのドミニク・ローランは樽ごとワインを買いつけます。蔵に届けられたワインは直ちにここで、新樽に入れ替えられるのです。半年後、もう一度新樽に入れ替えられます。このことをワインスペクテーター誌が「200% New Oak 」と呼んだのです。
というのも彼のブドウはあまりにもパワーがあり、普通の樽ではそのパワーを受け止めきれないからです。そこでこのような新樽200%というやり方が始められたのです。しかし彼がこの新樽200%のやり方を始めたのは実は偶然の産物でした。
ある年、購入したワインをいつものように新樽に移し替え、熟成後テースティングすると、これが素晴らしワインだったのです。そこで調べてみると実は購入したワインは既に新樽を使ったものだったことがわかりました。それ以来この『新樽200%』による熟成が始まったのです。
ドミニク・ローランのワインのおいしさの秘訣は樽にあります。彼は現在ではニュイ・サン・ジョルジュの近くに4つの樽工房を所有していて、そこでマジック・カスクと呼ばれる樽を製造しています。 『この樽は魔法の樽だ』と言われたことから命名されたこの樽は、高級家具の化粧張りに使われるような樹齢250~300年のオークを、伝統的な樽工房ですべて手作業によってつくるので、しばしば『樽のロールスロイス』とも言われます。
ロバート・パーカー著 「厳正評価 世界のワイン」より 「ドミニク・ローランは、ブルゴーニュで最も素晴らしい赤ワインを作り出している生産者である。訓練を積んだ菓子職人であるローランは、数年という短い期間で(最初のヴィンテージは1989年)ネゴシアン会社を設立したが、その目を見張るようなワインは、まだ姿を現さないうちに、つまり、どんな批評も出ないうちに売り切れてしまう! 彼は、自分が有機農法や有機栽培を採用するようすすめている大勢の栽培家と親密な関係を築いて仕事をしている。一旦購入されるやいなや、ワインは、エルヴァージュ(文字通りワインを育成する事で、瓶詰めを含め発酵後に起る全ての工程を指す)の為に、ニュイの村にあるローランの3つか4つあるセラーのひとつに移される。 彼は、あえて自分のエルヴァージュを語ろうとしないが、その理由は主に、他人に「極意」を知られたくないからである。彼のエルヴァージュの技術から解る事は、新樽に入れられたワインには決して硫黄を加えず、しばしばある樽から別の樽へと澱引きされる(時に、ある新樽から別の新樽に澱引きされ、それゆえ彼のワインは「新樽200%」とあだ名される)」
ワイナート39号 「ネゴシアン・ブルゴーニュの新時代」特集より |
ラベル、キャップ、液面(コルク下1.3センチ)の状態は良好です。