説明
匿名ワインでもこれは別格!オークヴィル東側の急斜面で100点ワインを生み出した畑のブドウから!
最近Anonymous(匿名)ワインというワインがもてはやされてきています。何らかの事情でワインの素性を明かすことが出来ないワインであり、ブランド力に頼らない代わりに高品質なワインが格安で飲めると評判になっているからです。そういうブドウが市場にひっそりと出てくる事情は、想像ですが、ブドウが豊作で、自らの醸造設備の上限を超えた収穫があった場合などが考えられます。普通にリリースされれば数倍の値段のプライスタグが付いていたことでしょう。このワインを飲みながら、「これはいったいどこのワイナリーのものなのだろう?」とあれこれ想像を巡らすのもワインの楽しみ方の一つです。
今回ご紹介するAnonymous Wine Collectiveの2023年ヒルサイド・ブロック92・オークヴィル・カベルネ・ソーヴィニヨンはその造り手や正確な畑の場所は明らかにされていませんが、匿名ワインの中でも別格と言えるものです。
ワイン商によると使用されているブドウは、オークヴィル・ヴァレーの谷床を見下ろす西向きのテラスにあり、斜度45度もの急斜面にある単一畑からのもので、これまでも100点満点のワインを生み出しているまさに世界トップクラスの畑です。このエリアの代表的なワイナリーにはコルギン、ブライアント・ファミリーなどがあり、他にも数々の象徴的なエステートが並んでいます。
世界でも希に見る急峻で岩だらけの土地
オークヴィルの東側のこの畑は世界でも最も過酷な、極めて急峻かつ岩だらけ、巨石だらけの区画です。正直この場所は農作業するにはあまりにも大変すぎて、本当にそれをやる価値があるのかすら疑うほどです。ここでいう「巨石」とは、車ほどの大きさのもので、場所によってはブドウの植栽を断念せざるを得なかったほどです。ブドウ樹はこの過酷な土地で手作業によって栽培され、それを担う農夫たちと同じくらい必死にもがいています。赤い火山性ローム層の中に、根が純粋な玄武岩の巨石を縫うようにして深く伸びていく様子が容易に想像できます。
このような畑からは、俗に「山カベ」と言われる濃密で力強いワインを想像するかもしれませんが、2023年は冷涼かつ穏やかな気候だったため、果実は美しいバランスを保ったまま熟しました。ワインはすべて500Lのフレンチオーク製パンション樽(大樽)4つで熟成されました。通常の樽の2倍の容量を持つパンションは、オークの風味が控えめで、分厚い板によって酸素の透過量も少なくなるため、結果としてワインは直線的でフレッシュな仕上がりになります。
オークヴィル東部の丘陵地由来ということもあり、このカベルネは非常にボルドー的な表情を見せます。スミレの花の香り、明るい果実味、しっかりとしたが洗練されたタンニン構造、控えめな樽香、そしてグラファイトや火山性ミネラルのニュアンスが特徴です。今後数週間から数ヶ月でミッドパレットにふくらみが出て、果実の密度もより感じられるようになると思います。すぐに楽しむ場合は、2〜3時間のデキャンタージュでグラスの中でボリューム感が増し、ワインが開いてきます。
| ワインメーカーのノート(裏ラベルより) 「斜度45度もある丘陵にある単一の区画からのブドウが使われています。あまりの急斜面と極めて岩がちで、巨石がゴロゴロした土地のため農作業は全て手作業で行なわれます。偉大なヴィンテージの力強く、エキゾチックなカベルネ・ソーヴィニョンです」 |
ラベル、キャップ、液面(コルク下0.4センチ)の状態は良好です。







