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「レア&カルトなワインの物語----ワインは人が作る」


第2回 「Sine Qua Non、究極のカルトワイン」

Sine Qua Non(シン・クア・ノン)と聞いて「ああ、あれか」と思い当たる人はかなりの通だと思います。

シン・クア・ノンはロサンゼルスの北西、オーハイ(Ojai)にある本当にちいさなワイナリーです。自らのブドウ畑は持たず、他の畑からブドウだけを購入して、自社で醸造するスタイルを貫いています。シン・クア・ノンとはラテン語で「欠かすことのできない何か」という意味だそうです。

シン・クア・ノンのオーナー兼ワインメーカーであるマンフレッド・クランクルはワインを生産する前はロサンゼルスの有名なベーカリー”ラ・ブレア・ベーカリー”の共同経営者でした。その彼が初めて自分のワインを作ったのが1992年、今からほんの10年ほど前のことです。その後1994年に現在の自社醸造設備を持つようになり、本格的にワインの生産を始めました。

シン・クア・ノンを特徴づけていることは、毎年ワインの名前、ラベル、ボトル、ブドウの畑やブレンドまで変わり「同じワインは2度と作らない」というポリシーです。名前の例を挙げると"Queen of Spades"(スペードのクイーン)、"Against the Wall"(壁に対して)、"Other Hand"(別の手)、"The Good Girl"(良い娘)など毎年こった名前をよく考えつくなあと感心してしまいます。

同様に毎年変わるラベルのデザインはマンフレッドの手によるもので、不思議な現代美術を見ているようです。またボトルまでもが毎年変わり、ワインのボトルには見えない奇妙な形のボトルや、とても重いボトルを使ったりと、まさしくワインでアートしているという感じです。

シン・クア・ノンのすごいところは遊び心でワインを作っているように見えて、実は極めて質の高いワインに仕上げているところです。毎年違う畑のブドウを使いながら、毎年のようにパーカーやワインスペクテーターで高得点を上げるのはまるで手品のようです。

シン・クア・ノンのワインで最も高い評価を受けているのは、セミヨン種をつかったデザートワインです。ロバート・パーカーによると98年のMr.K. Semillon Vin de Pailleが99点、99年は98-100点と予想しています。このMr.Kというのはオーストリアで世界的に有名な甘口ワインを作るアリオス・クラッハー(Alios Kracher)のことで、彼との共同生産のようです。実はマンフレッドはオーストリア出身です。パーカーは「100年は持つワイン」と激賞しています。またグルナッシェやシラーを使ったワインもパーカーが95点〜96点をつけています。

シン・クア・ノンのワインは生産量が極端に少なく、ワインによっては数十本しか生産されないものもあります。ラベルやネーミングが毎年変わるシン・クア・ノンのことを「大人のポケモンカード」とワインスペクテーターは評しました。

年間全部あわせても1500ケースしか生産されないので全量がメーリングリストで販売されますが、その顧客数は全部で600人もいないそうです。しかもその3倍の人数がウェイティング・リストに載っているそうです。今申し込んでもいったい自分の番になるのはいつのことやら・・・

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