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「レア&カルトなワインの物語----ワインは人が作る」


第1回 「Bryant Family、パーフェクトワイン誕生」

    Robert Parker   Wine Spectator 
1993    97          94
1994    98          97
1995   98-100        97
1996    99          100
1997    100         99

これらは近年のBryant Family VineyardのCabernet Sauvignon のロバート・パーカーパーカーとワインスペクテーター(WS)の評価ですが、高評価ぶりに圧倒されてしまいます。パーカーとスペクテーターは好みが違うのか、同じワインでも評価が分かれてしまうことが多々あります。

ところがBryant Family に関しては、パーカー、WSともに文句なくハイスコアをつけています。 先日出会ったセントルイスのワインショップのオーナーが「King of Californiaだ」と表現していたように、まさに今やカリフォルニアの赤の頂点に君臨すると言ってもいいワイナリーですが、実はその歴史は浅く、ファーストビンテージから10年も経っていないのです。

Bryant Family VineyardのワイナリーのオーナーであるDonとBarbaraのBryant夫妻。Don Bryantはセントルイスで弁護士をしていましたが、夫妻は1985年に家を建てる目的でナパバレーのセントヘレナの東に土地を購入しました。ちなみにDonはかなりのワインフリークで4000本ものコレクションを持っているほどでした。

彼らがその土地についてよく調べてみると、実は隣の土地はブドウ畑で素晴らしいブドウが取れていたことが判明しました。そこで彼は早速その隣の古いブドウ畑を購入して、そこから採れるブドウを他のワイナリーに売り始めたのです。

ところが「ブドウは売れるものの、そのブドウは粗雑に扱われているのではないか」と思ったDonはみずからワインを作ることを決心します。ワインメーカーを雇い、最初のビンテージを1990年にリリースしました。ところがこの年)と翌91年はともに大失敗でした。

「ワインメーカーがダメだとどんなにいいブドウを使ってもいいワインは出来ない」、と気づいたDon。運命の出会いは1992年8月のことでした。ワインメーカーとしてHelen Turleyを雇ったのです。

「ワインを売るには予算の40%を営業・広告につぎ込まなきゃダメだと言われたんだよ。だから君がやるべきことをやってくれれば、広告はガンガン出すよ」というDonに「ワインが素晴らしければ、自然と人は集まってくる」と主張するHelen。

実際ヘレンのワイン作りの才は天賦の物があり、1993年以降彼らのワインの質は劇的に向上しました。もともとブドウ自体は素晴らしかったわけで、その後カリフォルニアワインのトップに登り詰めるまでは時間はかかりませんでした。

現在Bryant Family は生産量が600-1000ケースほどで、しかも全量がメーリングリストで販売されるため、市場に出てくるのはほんの一部です。その希少性のゆえに、当然プレミアムがつきますから、店頭での販売価格は最低でも400ドル前後はしますし、当たり年の96、97年ともなると1000ドル近くの値が付いて取引されているようです。

まだ筆者がカリフォルニア・ワインについてあまりよく知らなかった頃、WSで99点や100点を連発するワイナリーがあることを知りました。それが「Bryant Family Vineyard」でした。さっそくなじみのワインショップに出かけて「Bryant Family はないか?」と聞いたら、ちょっと怪訝そうな顔をされて「メーリングリストに登録しなよ」と言われたのを覚えています。 こんなワインが街のショップにあるわけはないんですよね。 しかもメーリングリストに登録すればすぐに買える、と勝手に思い込んだことのですから、思い出すだけでも恥ずかしくなってしまいます。

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